オリックス生命保険株式会社は、これまで傷病を理由として保険に加入できなかった顧客に対して、引受範囲を拡大する「新引受査定ルール」の構築に着手しました。この取り組みでは、フランスの再保険会社SCOR SEのAIモデル「バーチャルアンダーライティング(VUW)」を活用し、2023年内に新ルールでの運用開始を目指しています。
VUWの特徴と効果
VUWは、保険会社が保有するビッグデータを活用し、傷病ごとの給付発生率をAIでシミュレーションする技術です。オリックス生命保険が長年蓄積してきた給付金支払いデータなどを基に、これまで引き受けできなかった一部の傷病を持つ方を対象に、無条件で加入した場合の仮想シミュレーションを行った結果、医療保険をはじめとした該当商品の保険料や保障内容等を変更せずに引受範囲の拡大が可能であることが確認されました。
新ルールの適用と効果
顧客の告知頻度が高い6傷病から対象範囲を順次拡大し、検証を進めていきます。新ルールを適用した場合、これまで特別条件付きでのみ引き受けていた傷病において、約90%が無条件での引き受けが可能となる見込みです。ただし、告知時点で治療中の顧客は除外されます。
今後の展望
医療技術の進歩により、完治可能な傷病や再発を抑えられる傷病は増加しています。オリックス生命保険は、社内に蓄積されたデータとAIを組み合わせて有効活用することで、これまで以上に幅広い顧客に保障を提供していく方針です。
AIを活用した保険引受範囲の拡大は、より多くの人々に保険の恩恵を享受する機会を提供すると同時に、保険会社にとっても新たな顧客層の獲得につながる取り組みといえます。今後、他の保険会社でも同様の取り組みが広がることが期待されます。
参考文献:オリックス生命保険株式会社プレスリリース